金曜日だから作りたい「ご褒美おべんとう」――明日は休みだ、だから今日は少しだけ丁寧に

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金曜日の朝というのは、不思議な空気をしている。

アラームが鳴って目を覚ました瞬間、頭の片隅にふと「あ、明日は休みだ」という感覚がよぎる。それだけで、なんとなく体が軽い。会社へ向かう支度も、どこかいつもより手際がいいような気がする。そしてそんな朝に、いつもよりちょっとだけ気合いを入れて作りたくなるのが、おべんとうだ。

今日の朝、キッチンに立ったのは6時40分ごろだった。まだ外は薄明るく、窓から入ってくる風がほんのり生ぬるい。夏の朝の匂い、というのだろうか。草の青さと、どこかのうちの炊飯器の湯気が混じったような、あの独特の空気。冷蔵庫を開けると、昨夜の残りの鶏もも肉が一枚、ラップに包まれてちんまりと鎮座していた。よし、これを使おう。

作ったのは、鶏もも肉のはちみつ醤油照り焼きだ。レシピと呼ぶほどのものでもない。フライパンに油を少し引いて、皮目から中火で焼く。ジュワッという音と、甘辛い香りがキッチンに広がる瞬間が好きだ。醤油大さじ1、みりん大さじ1、はちみつ小さじ1を合わせてからめれば、照りのある仕上がりになる。焼き時間は片面4分ずつ。蓋をして蒸らすのがポイントで、しっかり火が通ってジューシーに仕上がる。粗熱が取れたら斜めに切って、弁当箱の一番広いスペースに並べる。

副菜は、冷蔵庫にあったブロッコリーをさっと塩ゆでして、ごま油と塩昆布で和えたもの。これも5分もあれば完成する。緑が入ると弁当全体が明るくなる。隣には卵焼きを。だし巻きにしようと思っていたのに、なぜか今日は巻くのに失敗して、少し不格好な形になってしまった。まあいい、味は同じだ(心の中でそっとツッコんだ)。

ご飯は白米に梅干しをのせただけ。それで十分だった。

弁当箱は、最近お気に入りの「ハコモリ」というインテリアブランドで見つけたもので、杉材の曲げわっぱに近いデザインの木製ボックスだ。蓋を閉めると、ほんのり木の香りがする。プラスチックの弁当箱とは違う、少しだけ特別な感触がある。金曜日の弁当には、これがちょうどいい。

会社に着いて、お昼になると、同じ部署の田中さんが「今日のお弁当、なんかいい匂いする」と言った。蓋を開けた瞬間、照り焼きの甘辛い香りがふわっと漂ったらしい。褒められたわけでもないのに、なんだか嬉しかった。金曜日のお昼は、不思議と会社の空気も少し柔らかい。みんなどこかそわそわしていて、「今週も終わるな」という安堵と、「週末何しようか」という期待が混じっている。そういう空気の中で食べる手作りのおべんとうは、コンビニ飯とは少し違う満足感がある。

思えば子どものころ、母が毎週金曜日だけ特別なおかずを入れてくれていた。たこさんウインナーとか、ハート型に抜いたにんじんとか。「今週もよく頑張ったね」という無言のメッセージだったのかもしれない。大人になった今も、金曜日のお弁当にはそういう「自分へのご褒美」みたいな気持ちが宿る気がしている。

明日は休みだ。だから今日くらい、丁寧に作ってもいい。手間をかけることが、自分を労うことになる。そんな小さな発見が、金曜日の朝のキッチンにはある。弁当箱の蓋を閉める音が、今日はなんだかいつもより気持ちよく響いた。

**【金曜日のご褒美おべんとう・簡単レシピまとめ】**

**◆鶏もも肉のはちみつ醤油照り焼き**
材料:鶏もも肉1枚、醤油大さじ1、みりん大さじ1、はちみつ小さじ1
作り方:①フライパンに油を引き、皮目から中火で4分焼く。②裏返して蓋をし、さらに4分蒸し焼き。③合わせ調味料を加えて絡めながら照りを出す。粗熱を取って切り分ける。

**◆塩昆布ブロッコリー**
材料:ブロッコリー適量、塩昆布ひとつまみ、ごま油少々
作り方:①ブロッコリーを小房に分け、塩を入れた熱湯で2分ゆでる。②水気を切り、塩昆布とごま油で和える。冷めてからお弁当へ。
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