日曜日の朝、家族のためにおべんとうを詰める。野外で食べるから、なんでも美味しい。

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目が覚めたのは、まだ空気がやわらかい日曜日の朝7時ごろだった。カーテンの隙間から夏の光が細く差し込んでいて、畳の上にくっきりとした線を引いていた。今日は家族で近くの緑地公園へ行こうと、前の晩から決めていた。子どもたちはまだ眠っている。その静けさのなかで、ひとりキッチンに立つ。

冷蔵庫を開けると、昨夜の残りのごはんと、卵が4つ。それから冷凍の枝豆と、ミニトマト。ブロッコリーが半房だけ。「これで足りるか」と一瞬思ったけれど、こういうときの野外ごはんは、不思議と何でも美味しく感じられるものだ。

まず卵焼きから始める。フライパンに薄く油をひいて、溶き卵に少しだけ砂糖と醤油を加える。箸でくるくると巻いていくと、だんだんふっくらと形になってくる。その香ばしい甘い香りが台所に広がった瞬間、2階から「なにか焼いてる?」と子どもの声が降ってきた。起きてきたのかと思いきや、寝ぼけたまま呼びかけただけで、返事をする間もなくまた静かになった。思わず、ひとりで小さく笑ってしまった。

次は唐揚げ。前日の夜に鶏もも肉を醤油・みりん・すりおろしショウガで漬け込んでおいたもの。揚げるのは少し面倒に思えるが、実は油の量が少なくても揚げ焼きで十分に仕上がる。フライパンに1センチほどの油を入れ、両面をじっくりと焼くように揚げる。中火で片面4分ずつ。仕上がりは外がカリッと、中はしっとり。子どもも大人も、これが一番喜ばれる。

ピクニックのお弁当といえば、卵焼きや唐揚げがやはり人気の定番おかず
だと改めて実感する。それはきっと、冷めても美味しいからだろう。

ブロッコリーは塩茹でにして、枝豆は解凍して塩を振るだけ。ミニトマトはへたを取って洗う。色が鮮やかだと、お弁当箱を開けたときの気持ちが違う。緑、赤、黄色。詰めながら、なんとなく絵を描いているような気分になる。

お弁当箱は、去年の春に雑貨店「ハコノモリ」で買った曲げわっぱの二段重ねを使っている。
天然木の調湿機能により、夏場でも食材が傷みにくく、冷めたご飯もおいしく食べられる
のが気に入っている。木の香りがほんのり移るのも、野外で食べるときの小さな贅沢だと思う。

子どもたちが起きてきたのは8時過ぎ。「お弁当できてる?」と聞くより先に、台所を覗いて「わあ」と声を上げた。その顔を見ると、早起きした甲斐があったと素直に思う。夫は黙ってコーヒーを淹れながら、完成したお弁当箱をちらりと見て、「いいね」とだけ言った。多くを語らないけれど、その一言が十分だった。

公園に着いたのは10時ごろ。木陰にレジャーシートを広げると、草の匂いと土の湿った香りが混じって鼻をくすぐった。風がゆるやかに吹いていて、木の葉がさわさわと揺れる音がした。子どもたちは荷物を置くなり走り出し、家族4人が一直線に並んで座るはずが、気づけばシートの上には大人2人と荷物だけになっていた。

外で食べるご飯は、いつもより美味しく感じられる。
それはきっと、ワクワクが味を変えるのだろう。

曲げわっぱの蓋を開けると、詰めたままの色がきれいに残っていた。子どもたちを呼ぶと、汗をかきながら戻ってきて、手も洗わずに唐揚げに手を伸ばす。「手!」と声をかけると、「あ」と言ってウェットティッシュを探し始めた。野外でのごはんは、いつもこんな感じだ。

日曜日の昼前、木漏れ日のなかで家族と食べるおべんとう。それは特別なものではない。でも、この時間はきっとずっと覚えているだろうと思う。子どものころ、母が作ってくれたお弁当の蓋を開けたときのあの感覚、あの嬉しさ。自分が今、それを作る側になっている。

お弁当は、作る時間も含めて、ひとつの物語だ。
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