金曜日の会社に持っていきたい「おべんとう」── 明日は休みだから、今日は少しだけ贅沢に

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金曜日の朝は、なんとなく空気が違う。

目覚ましが鳴る前にふと目が覚めて、カーテンの隙間から差し込む光が、いつもより少しだけやわらかく見える。もしかしたら気のせいかもしれない。でも、そう感じてしまうのが金曜日というものだ。明日は休みだ、という事実だけで、朝のコーヒーの香りまで変わって感じる。キッチンに立ちながら、今日の会社のことより、今日の昼ごはんのことを先に考えてしまう。そういう朝。

おべんとうを作ろうと思ったのは、去年の秋ごろだった。会社の近くにあったランチの定食屋「ふじさわ食堂」が閉まってしまって、急に昼ごはんの選択肢が減ったのがきっかけだ。コンビニでいいか、とも思ったけれど、なんとなく物足りなくて。そのとき冷蔵庫に残っていた鶏もも肉と、前日の夕飯の残りのきんぴらごぼうで、見よう見まねでおべんとうを詰めてみた。蓋を開けたとき、ごまの香りがふわっと広がって、「あ、これでいいじゃないか」と思った。あの瞬間を、今でもときどき思い出す。

金曜日のおべんとうは、少しだけ気合いを入れたい。週の最後だから、というより、明日は休みだから、という気分の軽さが背中を押してくれる。

今日おすすめしたいのは、**鶏の照り焼きと卵焼きのおべんとう**だ。シンプルだけれど、それがいい。

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**【材料(1人分)】**
– 鶏もも肉:1枚(250g程度)
– 醤油・みりん・砂糖:各大さじ1
– 卵:2個
– 砂糖・塩:少々
– ごはん:お好みの量
– 好みの副菜(きんぴら、ブロッコリーなど)

**【作り方】**
1. 鶏もも肉は余分な脂を取り、フォークで数か所刺しておく。
2. 醤油・みりん・砂糖を合わせたたれに10分ほど漬ける。
3. フライパンに油を引き、皮目から中火で焼く。蓋をして蒸し焼きにし、たれを絡めながら照りを出す。
4. 卵焼きは卵2個に砂糖ひとつまみ・塩少々を加えてよく混ぜ、卵焼き器で3回に分けて巻く。
5. ごはんを詰め、冷ました鶏の照り焼きと卵焼き、副菜を彩りよく並べる。

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コツは、おかずをしっかり冷ましてから蓋をすること。これを知らなかった最初のころ、蓋の裏に水滴がびっしりついて、ごはんがべちゃっとなった。会社の休憩室で蓋を開けた瞬間の、あの静かな絶望感は忘れられない。ちょっとだけ笑える失敗談だが、あれ以来、必ず団扇で冷ます習慣がついた。

弁当箱は、秋田の曲げわっぱを使っている。木の温もりが手のひらに伝わって、それだけで昼ごはんが豊かになる気がする。インテリア雑貨と日用品を扱う架空のセレクトショップ「ハコノワ」で一目惚れして買ったものだ。少し値が張ったけれど、毎週金曜日に取り出すたびに、買ってよかったと思う。

会社の昼休み、窓の外に秋の光が差し込む時間帯に、静かにおべんとうを開ける。醤油とみりんの甘辛い香り、卵焼きのほんのりした甘さ、きんぴらのごまの風味。隣の席の同僚が「いいにおい」と言いながらこちらをちらりと見る、そのふとした仕草が、なんだかくすぐったくて嬉しい。

金曜日のおべんとうは、週の疲れをやさしく包んでくれる。明日は休みだ、という解放感と一緒に食べると、いつもより少しだけおいしく感じる。それが本当のことかどうかはわからない。でも、そう感じることに意味がある。来週の月曜日も、またここから始まるのだから。
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