**土曜日の野外においしさを連れ出そう!友人と楽しむ春のおべんとう提案**

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梅雨の足音がまだ遠い、五月の土曜日の朝のことだった。カーテンの隙間から差し込む光が、白い壁にやわらかく滲んで、今日がいい一日になりそうだと体より先に目が感じた。友人と遊ぶ約束は午前十時。待ち合わせは駅から少し歩いた先にある「緑ヶ丘公園」の入り口。前日の夜から、何を詰めようかとぼんやり考えていたのに、結局決めたのは当日の朝六時半だった。

おべんとうを作ろうと思ったのには、ちょっとした理由がある。子どもの頃、母が遠足の前夜に台所に立っていた。翌朝に蓋を開けたときのあの香り——ごま油とだし巻き卵と、なぜかいつも少し焦げた唐揚げの匂い——が、今でも「外で食べるごはん」の基準になっている。だから、野外で食べるものはやっぱり手作りがいい。そう思っている。

今回提案したいのは、三段重ねでなくていい、ふたつのシンプルなおかずを軸にした「土曜日の野外おべんとう」だ。メインは鶏の塩レモン焼き、もう一品はカラフル野菜のマリネ。これだけで、見た目も味もずいぶん豊かになる。

**鶏の塩レモン焼き**は、前夜に仕込んでおくと朝がずっと楽になる。鶏もも肉一枚に、塩小さじ半分、レモン汁大さじ一、オリーブオイル大さじ一、おろしにんにく少々をもみ込んで冷蔵庫へ。当日はフライパンで皮目からじっくり焼くだけ。皮がパリッと音を立てて色づく瞬間が、朝の台所でいちばん気持ちいい。冷めても硬くなりにくいのがレモン仕込みの利点で、野外での食べ歩きにも向いている。

**カラフル野菜のマリネ**は、パプリカ(赤・黄)、きゅうり、ミニトマトを薄切りにして、白ワインビネガー大さじ一、オリーブオイル大さじ一、砂糖少々、塩ひとつまみで和えるだけ。これも前夜仕込みが正解。翌朝には野菜がしんなりして味が馴染み、弁当箱に詰めたときの色合いが目に鮮やかだ。緑のバジルを一枚のせると、それだけでずっとおしゃれに見える。

ご飯は白米でも十分だけれど、ここに少し梅干しと白ごまを混ぜておくと、野外でも傷みにくく、香りもいい。おにぎりにして包んでしまえば、食べやすさも段違いだ。弁当箱は、北欧インテリアブランド「ノルディスク・フォルム」風の木目調のものを使うと、芝生の上に置いたときの絵になり方がまったく違う。

さて、当日。公園に着くと、友人がすでにシートを広げていた。五月の風が草のにおいをさらっと運んで、遠くで子どもたちの声がした。木漏れ日が揺れるたびに、地面の影がちらちらと動く。弁当箱を開けると、友人が「わあ」と小さく声を上げた。その「わあ」の一言が、朝六時半から台所に立った甲斐だったかもしれない。

ひとつだけ正直に言うと、この日わたしは鶏肉を焼きすぎた。少し焦げた部分を、さりげなくご飯の下に隠して詰めたのだが、友人はちゃんと気づいていたらしい。「ここ、なんかカリカリしてる」と言いながら、それでも全部食べてくれた。隠した意味は、まったくなかった。

友人と遊ぶ土曜日に、お店のごはんも悪くない。でも、野外で食べる手作りのおべんとうには、どこにも売っていない時間が詰まっている。少しだけ早起きして、好きな人のために詰める時間。それ自体が、もうすでにいい一日の始まりだと思う。今年の春のうちに、ぜひ一度試してみてほしい。
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