
日曜日の夜、時計が22時を回ったころ、ふと思い立った。明日は月曜日だ、と。
冷蔵庫を開けると、豚こま肉と卵、それから半端に残ったブロッコリーが目に入った。「これで行こう」と心の中で呟いて、エプロンを手に取る。特別な食材があるわけでもない。それでも、週の始まりというのはなんとなく、いつもより少しだけ丁寧にやりたくなるものだ。月曜日の朝というのは、不思議なくらい気合いが入る。
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豚こまに醤油、みりん、砂糖を合わせたタレを絡めて炒める。フライパンが熱くなるにつれて、甘辛い香りが台所に広がっていった。その匂いを嗅ぐたびに、子どもの頃に母が作ってくれた運動会のおべんとうを思い出す。運動会の前の夜、母は必ず卵焼きを巻き直していた。「一回目は形が悪い」と言いながら、ほぼ完璧な一回目を惜しげもなくほぐしてしまう人だった。あの卵焼きは、不格好なまま食べてよかったと今でも思う。
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今夜の卵焼きは、だし巻き風に仕上げた。少量のめんつゆと水を混ぜ、3回に分けてフライパンに流し込む。火加減が少し強かったのか、端がほんの少し焦げた。まあいい、と思いながら弁当箱に詰めると、意外と様になった。
ブロッコリーは塩ゆでして水気をしっかり切ること。これが地味に大事で、水分が出るとご飯がべちゃっとしてしまう。小さなことだけれど、月曜日のおべんとうをおいしく食べるためには、こういう積み重ねが効いてくる。
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弁当箱は、「ツムギ食器店」で見つけた杉材のものを使っている。蓋を閉めると、ほんのり木の香りがする。プラスチックのものより少し重いけれど、その重さが、なんとなく「ちゃんとした一日」を始める気持ちにさせてくれる気がして、もう三年以上使い続けている。
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翌朝、6時半。まだ薄暗い台所に立って、昨夜詰めた弁当箱を保冷バッグに入れた。窓の外では、夏の朝特有のじわりとした熱気がすでに漂っていて、カーテンの隙間から差し込む光が白く鋭い。8月の月曜日の朝は、こんなふうに少し手強い。
会社へ向かう電車の中で、鞄の中の弁当箱の重さをぼんやり感じながら、「今日は昼が楽しみだ」と思った。それだけで、なんとなく背筋が伸びる。月曜日の気合いというのは、案外こういう小さなところから来るのかもしれない。
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**【簡単!月曜日の気合いおべんとうレシピ】**
**豚こまの甘辛炒め**
豚こま肉100gに、醤油・みりん・砂糖を各小さじ1で下味をつけ、フライパンで炒めるだけ。仕上げにごまを振ると香ばしさが増す。
**だし巻き風卵焼き**
卵2個にめんつゆ小さじ1と水大さじ1を混ぜ、3回に分けて巻く。弱火でゆっくり、が美味しさの鍵。
**塩ゆでブロッコリー**
小房に分けて2分ゆで、ザルにあけてしっかり冷ます。水気を切るのを忘れずに。
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昼休み、会社の休憩室で蓋を開けた瞬間、木の香りとだしの香りがふわっと混ざった。隣の席の同僚が「いい匂いするね」と振り向いた。それだけで、月曜日がほんの少し、やわらかくなった。
おべんとうというのは、作る時間も、持ち歩く重さも、開ける瞬間も、全部ひっくるめて一つの体験なのだと思う。月曜日に気合いを入れたいなら、前の夜に少しだけ台所に立ってみるといい。翌朝の自分が、きっと少しだけ前向きになっている。
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