
目が覚めたとき、カーテンの隙間から春の光が細く差し込んでいた。4月の朝はまだ少し肌寒くて、布団から出る瞬間だけが一番つらい。今日は火曜日だ。月曜日の緊張感はすでに溶けているのに、週末はまだ遠い。なんとも言えない宙ぶらりんな曜日。それでも、キッチンに立ってガスをつけると、なんとなく気持ちが切り替わっていく。
会社に持っていくおべんとうを作りはじめた。
冷蔵庫を開けると、昨夜の残りの鶏もも肉が少し。ブロッコリー、卵、それからご飯。材料は地味だけれど、並べてみると意外とそろっている。今日のメインは鶏の照り焼きにしようと決めた。醤油、みりん、砂糖を合わせてフライパンに流し込むと、甘辛い香りがふわっと台所に広がる。この匂いをかぐと、なぜか子どもの頃の運動会を思い出す。母が早起きして作ってくれたおべんとう。蓋を開けたとき、卵焼きの黄色と海苔の黒がきれいに並んでいたあの光景。大人になった今も、おべんとうを詰めるたびにどこかであの記憶がよみがえる。
照り焼きチキンの簡単な作り方はこうだ。鶏もも肉は一口大に切り、塩こしょうで下味をつける。フライパンに油を薄くひき、皮目から中火で焼く。こんがりと焼き色がついたら裏返し、醤油・みりん・砂糖を各大さじ1の割合で合わせたタレを加えて絡める。タレが煮詰まってとろりとしてきたら完成。たったこれだけ。朝の10分でできてしまう。
ブロッコリーは耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジで2分加熱した。塩をひとつまみ振って、それだけ。緑が鮮やかで、お弁当箱の中でいい仕事をしてくれる色だと思う。卵焼きは、だし巻きにするつもりが、今朝はなぜか出汁を切らしていた。仕方なく塩だけで焼いたら、それはそれで素朴においしかった。失敗とも呼べないくらいの小さな誤算。
お弁当箱は、昨年の誕生日に自分へのご褒美として買った「MOKU CRAFT」の木目調のもの。蓋を閉めると、なんだかそれだけで丁寧な暮らしをしている気分になれる。実際はバタバタした朝なのだけれど。
詰め方にも少しだけこだわっている。ご飯は奥に多めに入れて、手前におかずを並べる。照り焼きチキンを真ん中に置いて、左にブロッコリー、右に卵焼き。隙間には冷凍のミニトマトをそのまま入れると、保冷の役割も果たしてくれる。
2026年のトレンドとして、「自分の好きや心地よさを誰にどう共有するか」を大切にする価値観が広がっている
という。おべんとうもそれに近い気がする。誰かに見せるためでも、映えを狙うためでもなく、ただ自分が昼に「おいしい」と思えるものを詰めるだけでいい。
「映え」よりも「心地よさ」「リアルな満足」を求める流れが加速している
今、手作りのおべんとうはその感覚にぴったり重なる。
会社に着いて、昼休みにお弁当箱の蓋を開ける瞬間が好きだ。朝に詰めた自分の手仕事が、そのまま目の前に現れる。照り焼きの甘辛い香りが漂って、隣の席の同僚がちらりとこちらを見る。「いいな」と言われると、なんだかこそばゆい。
火曜日は、週のまんなかでもなく、始まりでもない。でも、手作りのおべんとうを持って出かけるだけで、なんとなく今日もがんばるぞという気持ちが湧いてくる。大げさじゃなく、本当にそうなのだ。朝のキッチンに立つ10分間が、その日一日の小さな背骨になっている。
特別なことは何もない。照り焼きと卵焼きとブロッコリー。それだけで十分だと、火曜日の朝はいつもそっと教えてくれる。
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