水曜日のおべんとう、週の折り返しに自分を甘やかす一箱

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目が覚めたとき、空がまだ少し白みきっていなかった。4月の朝はやさしいようで、台所に立つとひんやりした空気が足首に触れる。冷蔵庫を開けると、昨夜の残りの鶏の照り焼きが小さなラップに包まれて待っていた。水曜日の朝は、いつもこんなふうに始まる。

月曜日の緊張、火曜日の疲れ。会社に着くたびに積み上がっていく書類と、終わらないメールの通知。そして水曜日——週の折り返しというのは、地味だけれど確かに存在する「今日さえ乗り越えれば」という小さな希望の日だ。だからこそ、この日のおべんとうだけは少しだけ丁寧に作ろうと、ここ数ヶ月で決めている。

昨夜の鶏の照り焼きを弁当箱に並べながら、ふと子どもの頃のことを思い出した。母が毎朝台所で立てていた、菜箸がアルミのボウルに当たるあの音。あれは何時だったのだろう。自分が目を覚ます前から、もう台所は動いていた。当時はまったく気にも留めていなかったけれど、今となっては、あの音が朝そのものだったと思う。

おべんとうの主役は、昨夜の照り焼きチキン。作り方はシンプルだ。鶏もも肉に片栗粉を薄くまぶし、フライパンで皮目からじっくりと焼く。醤油・みりん・砂糖を1:1:1で合わせたタレを回しかけ、蓋をして蒸らすこと3分。仕上げに蓋を外して強火でタレを絡めれば完成だ。冷めても味がぼやけないのは、片栗粉のおかげ。会社の昼休みに食べるときも、しっかり照りが残っている。

副菜には、ほうれん草のごま和えと、ミニトマトを2粒。ごま和えは前日の夜に作っておいたもので、白ごまをすり鉢で粗くつぶし、醤油と砂糖を少量混ぜるだけ。すり鉢を引っ張り出すのが少し面倒で、最初は「フードプロセッサーでいいか」と思ったのだが、やはり手でつぶしたごまは香りが違う。鼻に届く、あのほんのり焦げたような温かいごまの香りは、機械では出せない。

ご飯は「ハコニワライス」という小さな木製の曲げわっぱ型の弁当箱に詰めた。——これは架空の雑貨ブランド「コトノハ食器店」が出しているシリーズで、会社の同僚に教えてもらったものだ。軽くて、白いご飯がなぜか一段とおいしそうに見える。

弁当箱の蓋を閉める瞬間、いつも少しだけ満足感がある。詰めた順番、色のバランス、おかずの高さ。誰かに見せるわけでもないのに、なぜかそこだけは妙にこだわってしまう。今日は右端のミニトマトが一個、転がって斜めになってしまった。直そうとしたら今度は鶏肉がずれた。結局そのままにした(なんとなく、それでいい気がした)。

会社に着いて、昼休みに弁当箱を開ける。窓から差し込む春の光が、照り焼きの表面でぴかりと光る。醤油とみりんの甘じょっぱい香りが、ふわりと鼻先に広がった瞬間、朝の台所の記憶と重なった。隣の席の先輩が「いいにおいする」と言いながら自分のカップ麺に視線を戻した。

週の折り返しは、静かに自分を甘やかす日だ。会社でのあれこれを一時間だけ忘れて、自分が作ったものを、ゆっくりと食べる。それだけでいい。水曜日のおべんとうは、そういう小さな儀式になっている。
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