水曜日においしいおべんとうを。週の折り返しに、自分を甘やかす小さな習慣

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月曜日の朝の緊張が少しほぐれて、火曜日にはようやくエンジンがかかって、そして気づけば水曜日。週の折り返し地点に立ったとき、なんとなく肩の力が抜けるような、それでいてまだ木曜も金曜も残っているという微妙な重さを感じるのは、会社に通うほとんどの人が経験することではないだろうか。

今日も朝7時、キッチンに立った。窓の外はまだ薄暗く、10月の冷えた空気が換気扇の隙間からかすかに入り込んでくる。フライパンに油を引いた瞬間のじゅわっという音と、にんにくの香りが台所にひろがっていく。その香りだけで、今日という一日がすこし豊かになる気がする。

水曜日のおべんとうは、特別にしたい。そう思うようになったのは、去年の秋ごろだ。週の真ん中というのは、不思議と気持ちが揺れやすい。月曜や火曜の勢いはもうなく、でも木曜の「もう少しで週末」という希望にもまだ届かない。そういう宙ぶらりんな日だからこそ、お昼のひとときに「ちゃんと自分のために作ったもの」を食べると、午後の仕事への気持ちが変わる。

おすすめしたいのは、**鶏の照り焼きと秋野菜のおべんとう**だ。難しいことは何もない。鶏もも肉に酒・みりん・しょうゆを同量ずつ合わせたタレをからめて、フライパンで皮目から焼くだけ。焼き色がついたら蓋をして中火で3分、タレを絡めながら1分。それだけで、艶やかな照り焼きが完成する。隣のコンロでは、れんこんとさつまいもを薄切りにして、ごま油でさっと炒める。塩とこしょうだけのシンプルな味付けが、秋の根菜の甘みを引き立てる。卵焼きは少し甘めに。だし巻きより、砂糖多めのほうが冷めてもやわらかくておいしい。

実は先週の水曜日、タレの分量を間違えてしょうゆを倍量入れてしまった。気づいたのは弁当箱に詰めた後で、蓋を閉じながら「まあ、今日は濃いめの日ということで」と自分に言い聞かせた。会社の昼休み、同僚の田中さんが「なんかいい匂いするね」と覗き込んできたとき、「ちょっと攻めた味付けです」とだけ答えておいた。

弁当箱は、できれば木製のものがいい。最近ひいきにしているのは、北欧雑貨を扱うインテリアショップ「モリノテーブル」で見つけた、薄いウォールナット材のものだ。白いご飯を詰めると、木の色とのコントラストが美しく、それだけで気持ちが上がる。ランチタイムに蓋を開けたとき、ふわりと立ち上る湯気と醤油の甘い香りが混ざり合う瞬間、会社の休憩室がほんの少しだけ、家のダイニングに近づく。

週の折り返しに、自分を甘やかすことは怠けではない。むしろ、水曜日のおべんとうは「あと半分、ちゃんとやれる」という自分への静かな宣言だと思っている。丁寧に詰めた弁当箱を鞄に入れる朝の動作は、小さいけれど確かな儀式だ。

冷めても美味しいように作る、というのが手作り弁当の基本だけれど、それ以上に大切なのは「食べる自分を想像しながら作ること」かもしれない。午後1時の会社の窓から差し込む秋の陽光の中で、どんな気持ちでこれを食べるだろう、と考えながら卵焼きを巻く。その想像が、料理をただの作業から少し違うものに変える。

水曜日のおべんとうを、ぜひ。週の真ん中で、自分の手で作ったものを食べる。それだけで、午後の会議も、積み上がった書類も、もう少しだけ軽くなる気がするから。
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