木曜日こそおべんとうを持っていこう。会社の「もう一息」を乗り越えるための、小さなごちそう

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梅雨の晴れ間が差し込む朝、台所に立つとなんとなく気持ちが違う。窓の外では、まだ湿り気を帯びた空気がゆっくりと動いていて、カーテンの端がほんのり揺れている。コンロに火を入れると、ごま油の香りがふわりと広がった。今日は木曜日。週の終わりまで、もう一息。

木曜日というのは、なかなか不思議な曜日だと思う。月曜の緊張も火曜の慌ただしさもひと段落して、でも金曜日にはまだ届かない。会社に着いても、同僚の顔にどこか「あと少しだ」という静かな疲れが見えて、午後の会議室には珈琲の香りが漂っている。そんな日だからこそ、お昼のおべんとうがちょっと嬉しいものになると、午後の空気がずいぶん変わる気がする。

子どもの頃、母が木曜日だけ決まって卵焼きを甘く焼いてくれていた。「週の真ん中よりちょっと後だから、甘いものが必要でしょ」と言っていたけれど、そのロジックが今になってようやくわかる。甘い卵焼きひとつで、あの頃の午後は確かに明るかった。

今日のおべんとうには、鶏の照り焼きを入れることにした。フライパンに醤油、みりん、砂糖を同量ずつ合わせて、皮目からじっくり焼く。焦げつきそうになるギリギリで火を弱めるのが少しドキドキするが、そこを乗り越えると、つやつやとした飴色の鶏が完成する。香ばしい匂いが台所に満ちて、自然と背筋が伸びた。

🍱 **木曜日の鶏照り焼きおべんとう・簡単な作り方**

**材料(1人分)**
– 鶏もも肉 1枚
– 醤油・みりん・砂糖 各大さじ1
– ブロッコリー 適量
– 卵 2個(卵焼き用)
– ご飯 茶碗1杯分

**作り方**
1. 鶏もも肉は余分な脂を取り除き、フォークで数か所穴を開ける。フライパンに油を薄くひき、皮目を下にして中火で5分ほど焼く。
2. 裏返してさらに3分焼いたら、合わせた醤油・みりん・砂糖を加えて絡める。照りが出たら取り出し、食べやすく切る。
3. ブロッコリーは小房に分けて塩ゆでし、水気をしっかり切る。
4. 卵2個に砂糖ひとつまみと塩少々を混ぜ、卵焼き器で丁寧に巻く。
5. ご飯を詰めたお弁当箱に、鶏・卵焼き・ブロッコリーを彩りよく並べる。

ポイントは、詰める前におかずを少し冷ますこと。温かいままふたをすると蒸気でご飯が湿ってしまうので、キッチンペーパーの上で5分ほど待つ。この「待つ」時間が、意外と大事だった。

今朝、お弁当箱のふたをしめようとして、ブロッコリーをひとつ床に落とした。拾い上げて、少し考えて、新しいものに入れ替えた。誰も見ていない台所での小さな正直さ、それもまたお弁当づくりの一部かもしれない。

会社の昼休み、窓際の席でふたを開けた瞬間のあの感覚。冷めても香る醤油の甘さ、ぎゅっと詰まったご飯の白さ、黄色い卵焼きの断面。誰かに見せたくなるような、でも自分だけのための小さな景色。インテリアブランド「ハコリエ」のシンプルな木製弁当箱に詰めると、それだけで少し丁寧な午後が始まる気がする。

木曜日の午後は、不思議とゆっくり流れる。会社の窓から見える空が少し明るくなって、隣の席の先輩がコーヒーカップをそっとデスクに置く音がする。もう一息、という言葉は、追い詰められた言葉じゃなくて、ゴールが見えている言葉だ。

手作りのおべんとうは、誰かのためでも、自分のためでも、どちらでもいい。ただ、木曜日の朝に少しだけ早起きして、台所に立ってみること。それだけで、なんとなく今日の自分が好きになれる。そういう小さなことが、一週間をちゃんと終わらせる力になっていると、最近そう思うようになった。
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