土曜日の朝、友人と野外へ。心がほどける「夏おべんとう」のすすめ

Uncategorized

ALT

目が覚めたとき、部屋にはもうじゅうぶんな光が差し込んでいた。カーテンの隙間から入りこむ夏の朝の白さは、平日のそれとはどこか質が違う。土曜日の光だ、とぼんやり思いながら、わたしはゆっくりと起き上がった。

友人と野外で過ごす約束をしていた。公園の名前は「青葉台緑地」——地元の人しか知らないような、こぢんまりとした場所だ。大きな楠の木が何本か立っていて、その木陰はいつも風が通る。セミの声がそこだけ少しくぐもって聞こえる、あの場所。

「何か持ってきてね」と前日にメッセージが届いていた。それだけで、わたしは台所に立つ気になった。

冷蔵庫を開けると、昨夜の残りの鶏もも肉がある。ラップをはがすと、醤油と生姜のにおいがふわっと漂う。これは使える、と直感した。フライパンを火にかけ、少し多めのごま油を引く。皮目からじっくり焼くと、パチパチという音が台所に広がって、朝の静けさを気持ちよく破ってくれた。

今回のおべんとうのメインは「鶏の甘辛照り焼き」。作り方はとても簡単だ。鶏もも肉に塩と片栗粉を薄くまぶし、皮目から中火でじっくり焼く。両面に焼き色がついたら、醤油・みりん・砂糖を同量ずつ合わせたタレを回しかけ、蓋をして弱火で2分。最後に蓋を外して強火で照りを出せば完成。これだけで、弁当箱のなかで存在感を放つ一品になる。

副菜には、ゆで卵の塩麹漬けを添えた。前夜から漬けておくだけで、黄身がしっとりとして、塩気がまろやかに仕上がる。あとはプチトマトと、きゅうりとわかめの酢の物。酢の物はすこし酸っぱいくらいがちょうどいい。夏の野外では、さっぱりとした味のものが体に染みる。

弁当箱に詰めながら、子どもの頃のことを思い出した。母が遠足の前の夜にいつも台所に立っていて、わたしはその背中をじっと見ていた。朝になると、タコさんウインナーと卵焼きが詰まった弁当が用意されていた。蓋を開けたときのあのにおい——醤油と卵と、少しのソース——は、今でも「遠足」という言葉と一緒にどこかに残っている。

大人になっても、弁当を作るときのあの感覚は変わらないかもしれない。誰かのために詰める、という行為そのものが、すでに楽しい。

「青葉台緑地」に着くと、友人はもうブルーシートを広げて待っていた。手には架空のナチュラル雑貨ブランド「HAKOBUNE GOODS」の保冷バッグ。中を見ると、サンドイッチとフルーツが入っていた。

「早いね」と言うと、「暑くなる前に来たかった」と笑いながら麦茶のボトルをふたつ取り出した。冷えたボトルを受け取ったとき、手のひらにじんわりとした冷たさが伝わってきた。

楠の木陰は、想像していたより涼しかった。葉の間から光がこぼれて、シートの上に小さな光の粒が揺れている。風が吹くたびに、その粒がゆっくりと動く。

弁当箱の蓋を開けると、友人が「おいしそう」と言ってのぞき込んできた。鶏の照り焼きは、少し崩れていた——詰めるとき、箸でうまく持てなくて二度落としたのはここだけの話だ。でも味は問題ない。むしろ少し崩れたほうが、なんとなく手作り感があっていいとすら思う。

友人と野外で食べるおべんとうは、家で食べるより不思議とおいしく感じる。同じ食材、同じ味付けのはずなのに。それはきっと、風の音や遠くで遊ぶ子どもたちの声や、草のにおいが混ざりこんでいるからだろう。食事は、場所ごと味がするものだ。

土曜日の午前中、まだ日差しが優しいうちに、誰かとおべんとうを広げる。それだけで、一週間のざわざわがすうっと落ち着いていく気がした。難しいレシピも特別な材料も要らない。冷蔵庫にあるもの、少しの手間、そして持っていく気持ちがあれば、それで十分だ。
#今日のお弁当
#お弁当記録
#毎日弁当
#お弁当作り楽しもう
#節約弁当
#ヘルシー弁当
#働く人のお弁当
#お弁当アイデア
#簡単弁当レシピ
#一週間お弁当メニュー
#日刊ブログメーカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました