月曜日のおべんとうに気合いを入れる。それだけで、一週間が変わる気がした。

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日曜日の夜、台所に立つのが少し億劫だと思う人は、きっと少なくないはずだ。明日はまた月曜日。会社へ行かなければならない。その事実だけで、なんとなく胃のあたりが重くなる。でも、そんな夜に思い切ってお弁当箱を引っ張り出してみると、不思議なことが起きる。

冷蔵庫を開けると、昨日の夕飯の残りの鶏の照り焼きが小さなタッパーに収まっていた。それから、半分だけ残ったピーマン、卵が三つ。「これで行けるかも」と思った瞬間、なんだか少しだけ気持ちが前を向いた。

月曜日のお弁当に気合いを入れる、というのは大げさに聞こえるかもしれない。でも、これは本当の話で、ちゃんとした弁当を持って会社に行く日は、午後の集中力がまるで違う。コンビニのおにぎりとサラダチキンで済ませた日と、自分で詰めた弁当を食べた日とでは、昼休みの満足感がまるで別物なのだ。

作り方はとても簡単だ。まず、前夜に「三品だけ」と決める。メインは冷蔵庫にあるもので十分。鶏の照り焼きをフライパンで温め直し、卵を溶いてだし巻き卵を一本焼く。ピーマンはごま油と塩でさっと炒めるだけ。それをご飯の上にきれいに並べれば、もうそれだけで立派なお弁当になる。所要時間は、慣れれば十五分もあれば足りる。

六月の朝は、窓の外がすでに明るい。梅雨の晴れ間の朝七時、台所には冷たい水の音と、だし巻き卵を焼くときのじゅわっという音だけが響いていた。卵液がじんわり固まっていく様子を見ながら、子どもの頃、母が毎朝弁当を作っていた姿を思い出した。あの頃は当たり前だと思っていたのに、大人になってやってみると、それがどれだけ大変なことだったかがわかる。

ちなみに、先週の月曜日。弁当箱のふたをしっかり閉めたつもりが、バッグの中でだし巻き卵だけがすこし傾いていて、ご飯の上に静かに倒れ込んでいた。開けた瞬間、「あ、崩れた」と思ったけれど、味は変わらない。見た目より中身、と自分に言い聞かせながら食べた昼だった。

お弁当箱は、「ツバキ舎」というブランドの木製の小さなものを使っている。蓋を開けるたびにほんのり木の香りがして、それだけで食欲が増す気がする。ご飯の水分を適度に吸ってくれるから、冷めてもべたつかない。これを買ってから、弁当を作ることへの気持ちのハードルが少し下がった。道具が好きになると、続けやすくなるのだと気づいた。

月曜日に気合いを入れてお弁当を作ると、火曜日も作りたくなる。水曜日も、木曜日も。会社の昼休みに弁当箱を開ける瞬間が、一日の中の小さな楽しみになってくる。それは決して大きな幸福じゃないけれど、毎日のリズムを整えるには、こういう小さなことの積み重ねが意外と効いてくる。

一週間のはじまりに、自分のために少しだけ手をかける。月曜日のおべんとうは、そのための一番やさしい入口かもしれない。
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