日曜日の野外おべんとう|家族と過ごす青空ランチのすすめ

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目が覚めたのは、まだ鳥の声しか聞こえない日曜日の朝、七時前のことだった。カーテンの隙間から差し込む光が、うっすらと畳の上に伸びていて、「ああ、今日は晴れる」と直感した。こういう朝は、なんとなく外に出たくなる。家族を起こすより先に台所に立ち、冷蔵庫を開ける。

野外でのお弁当ランチは、ここ最近の日曜日の定番になりつつある。公園の芝生の上に、古いピクニックシートを広げて、家族みんなで同じものを食べる。それだけのことなのに、なぜかいつもの食卓より少しだけおいしく感じるのはなぜだろう。風のせいかもしれないし、青空のせいかもしれない。あるいは単に、外の空気が食欲を刺激するからかもしれない。

今日のおべんとうは、鶏の照り焼きおにぎりと、だし巻き卵、ブロッコリーのごま和え、プチトマト。それから子どもたちが大好きなウィンナーを一本だけ、星形に切って入れた。切り込みを入れすぎてしまって、タコではなく何かよくわからない生き物になってしまったのはご愛嬌だ。次女は「クモみたい」と笑っていた。

おにぎりの作り方は至ってシンプルだ。温かいご飯に少量の塩を混ぜ、焼いた鶏もも肉を醤油・みりん・砂糖で照り焼きにしたものを中に包む。海苔で巻いて、ラップで形を整えれば完成。ポイントは、鶏肉をしっかり冷ましてから包むこと。熱いまま包むと、おにぎりが蒸れて海苔がべたつく。だし巻き卵は、卵三個に対してだし大さじ二杯、塩少々。弱火でゆっくり巻くのが、ふんわりに仕上げるコツだ。ブロッコリーのごま和えは、茹でたブロッコリーに白すりごまと醤油少々を混ぜるだけ。五分もかからない。

弁当箱は、「ハレノヒ工房」というブランドの丸いわっぱ型を使っている。木の香りが仄かにして、詰めるたびに少しだけ気分が上がる。蓋を開けた瞬間の、あのほんのり甘い木の香りと、ご飯の湯気の温もりが混ざった感じ。あれは、プラスチックの弁当箱では絶対に出せない空気感だと思っている。

近所の「緑ヶ丘公園」の奥にある大きなクスノキの下が、わたしたち家族のお気に入りの場所だ。午前十時頃に着くと、まだ人もまばらで、木漏れ日がシートの上にやわらかく落ちてくる。風が吹くたびに葉が揺れて、光の模様が動く。子どもたちはシートを広げるそばから走り出してしまうので、いつも弁当箱を並べるのは大人の仕事になる。

長男が「もう食べていい?」と聞いてきたのは、弁当箱を開けた瞬間のことだった。返事をするより早く、おにぎりを一つつかんでいた。夫は黙って麦茶を注いだコップをわたしに差し出した。受け取りながら、「ありがとう」と言う間もなく、長女がプチトマトを転がして隣の芝生まで追いかけていった。そういう、ちょっとしたバラバラさが、野外のお弁当らしくていい。

子どもの頃、母がよく作ってくれた遠足のおべんとうには、必ずたまご焼きが入っていた。甘めの関西風で、端っこが少し焦げているのがいつも決まっていた。あの焦げの香ばしさと、冷めてもふんわりした食感は、今でも鮮明に覚えている。自分で作るようになって気づいたのは、あの焦げは「失敗」じゃなくて、急いで作った朝の証だったということだ。

家族でおべんとうを囲む日曜日は、特別なことは何も起きない。でも、そのなにも起きない時間が、じわじわと記憶に残っていく気がする。青い空と、草の匂いと、子どもたちの笑い声と、少し冷えただし巻き卵の味。それだけで、十分すぎるくらいだ。

今度の日曜日も、晴れたらいいなと思いながら、空のわっぱ弁当箱を洗った。
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