
木曜の夜、夕飯の片づけをしながらふと思った。明日は金曜日だ。そして、明日は休みだ。週に一度だけ訪れる、この小さな「解放の予感」が好きだ。
最近の調査によると、お弁当を作る理由として最も多いのは「食費の節約」で、物価高の影響を受けている人が約60%にのぼるという。
けれど、私がお弁当を作り続けているのは、それだけじゃない気がする。会社の昼休み、あの静かな12時15分に、自分だけのために用意した小さな箱を開ける瞬間——それが、一週間の中でいちばん深く息を吸える時間だから。
金曜日のお弁当は、いつもより少しだけ丁寧に作ることにしている。月曜から木曜は、正直なところ「詰め込んで終わり」になることも多い。卵焼きが少し焦げても、ブロッコリーが端に追いやられても、まあいいかと蓋を閉める。でも金曜は違う。明日は休みだという気持ちが、不思議と手を動かす。
今週の金曜日に作ったのは、鶏の甘辛照り焼きと、ほうれん草のごま和え、それから小さな卵焼き。ご飯の上には黒ごまをひとつまみ。使ったのは、以前アウトドアショップ「モリノキ」で見つけた杉の曲げわっぱだ。
天然木の調湿機能により、冷めたご飯もおいしく食べられる
と聞いて買ったのだが、実際、白いご飯がふっくらしたまま昼まで持つのには驚いた。
照り焼きの作り方は、拍子抜けするほど簡単だ。鶏もも肉に塩こしょうをして、フライパンで皮目からじっくり焼く。焼き色がついたらひっくり返し、醤油・みりん・砂糖を1:1:0.5の割合で合わせたタレを回しかけて絡める。仕上げに少しだけ蓋をして蒸らすと、中までしっかり火が通る。これだけだ。子どものころ、母がよく作ってくれたあの味に、今もどこか近づこうとしている。
ほうれん草のごま和えは、前の晩に茹でておいたものを使う。
前日に作ったものや作り置きおかずをお弁当に活用すると、朝の準備がとても楽になる。
水気をしっかり絞って、すりごまと醤油、少量のみりんで和えるだけ。朝の5分でできる副菜の筆頭格だ。
朝6時半。台所に立つと、窓の外はまだ少し薄暗い。5月の朝にしては空気がひんやりしていて、フライパンを温める音と、醤油が焦げる甘い香りが台所に広がった。その香りが部屋に満ちたとき、ああ今日は金曜日だと体が思い出す。
弁当箱に詰め終えて、ふと気づいたら卵焼きをひとつ多く作っていた。3切れのつもりが4切れ。自分でも気づかないうちに手が動いていたらしい。まあ、詰め込めば入るか——と押し込んだら、蓋がほんの少し浮いた。そのまま輪ゴムで留めて、今日のところはそれで良しとした。
会社に着いて、デスクに弁当袋を置く。午前中の会議が長引いて、気づけば12時を5分過ぎていた。隣の席の同僚が「お先に」と言いながらコーヒーカップをそっと机に置いていく、その小さな仕草を横目に、私も席を立つ。
休憩室の窓から、5月の空が見えた。雲がゆっくり流れていた。曲げわっぱの蓋を開けると、ごまの香りが静かに立ち上った。鶏の照り焼きは、朝よりも少しタレが馴染んで、色が深くなっていた。ご飯はちゃんとふっくらしていた。
お弁当作りの悩みとして「メニューのマンネリ化」を挙げる人が61.8%にのぼる
という話を読んだことがある。わかる、と思った。でも、金曜日だけは不思議とマンネリを感じない。明日は休みだという予感が、同じおかずをちょっと違うものに見せてくれるのかもしれない。
一週間、会社でいろんなことがあった。うまくいったことも、そうでなかったことも。でも今この瞬間、箸を持ってお弁当を食べているだけで、それらが少し遠くなる。金曜日のおべんとうは、週の終わりに自分へ贈る、小さなご褒美だ。
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