**火曜日の朝だって、がんばるぞ。会社に持っていきたい「10分おべんとう」のすすめ**

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月曜日を乗り越えた。それだけで、もう十分すごいことだと思う。

火曜日の朝というのは、妙な曜日だ。週の始まりの緊張感はすでに溶けているのに、週末はまだ遠い。気持ちがふわっと宙に浮いたまま、それでも目覚ましが鳴る。6時15分。カーテンの隙間から差し込む光が、まだ少しだけ眠たそうな角度をしている。秋の朝の空気は、窓を開けると冷えていて、思わず肩をすくめてしまう。ひんやりとした空気が鼻の奥まで入ってきて、ようやく「ああ、今日も一日が始まるんだな」と実感する。

そんな朝に、私はお弁当を作ることにした。

きっかけは些細なことだった。会社の近くのランチスポットが軒並み値上がりして、財布が悲鳴を上げたのだ。それに加えて、最近は会社の帰り道に「今日もなんとなくコンビニで済ませてしまった」という罪悪感が積み重なっていた。子どもの頃、母が毎朝作ってくれたお弁当の蓋を開けたときの、あの湯気と醤油の香りを思い出した。卵焼きが少し焦げていても、ちゃんと甘くて、それが好きだった。

だから、自分で作ることにした。がんばるぞ、と心に決めて。

ただ、正直に言うと、最初の火曜日の朝は盛大にやらかした。前夜に「明日こそお弁当!」と意気込んで早起きしたものの、寝ぼけたまま冷蔵庫を開けて、玉ねぎと卵と残り物のきんぴらごぼうを眺めながら5分間固まっていた。頭の中で「これ、どう組み合わせるんだ…」と静かにツッコミを入れつつ、なんとか形にしたお弁当は、彩りもバランスも微妙で、蓋を閉めながら「まあ、自分で食べるからいいか」と開き直った。あれはあれで、清々しかった。

でも、回数を重ねるうちに、コツがわかってきた。

火曜日のお弁当は、「月曜の夜のおかずの残り」が主役になる。これが実は最強の作戦だ。たとえば、月曜の夜に作った豚の生姜焼きが少し残っていたなら、それをそのままご飯の上に乗せる。味がしっかりついているから、冷めても美味しい。きんぴらごぼうや切り干し大根の煮物も、一晩置くと味が染みてむしろ翌朝の方がおいしくなる。残り物を「使い回し」と後ろめたく思う必要はない。「仕込んでおいた」と言い換えるだけで、なんだかプロっぽくなる。

ここで、私がよく作る「10分おべんとう」の簡単な作り方を紹介したい。

まず、ご飯を詰める。前日の夜に炊いておいたものを、朝にレンジで温めてから詰めるとふっくらする。次に、卵焼きを作る。卵2個に少量の砂糖と醤油を加えて混ぜ、フライパンで巻くだけ。慣れれば3分もかからない。そこに、残り物のおかずをひとつ。彩りが足りないと感じたら、プチトマトかブロッコリーをひとつ添えるだけで、見た目が一気に整う。最後に、梅干しをひとつ真ん中に置いたら完成だ。

お弁当箱は、できれば木製か竹製のものがいい。私が愛用しているのは「ヒノキノハコ」というブランドの一段弁当箱で、ご飯の余分な水分を吸ってくれるから、昼になっても米がべたつかない。会社のデスクで蓋を開けたとき、ほんのりと木の香りがする。それだけで、なんだか気持ちが落ち着く。

火曜日の昼休み、窓の外に秋の空が広がっている。同僚が「それ、自分で作ったの?」と少し驚いた顔で聞いてくる。「うん、まあ」と答えながら、卵焼きをひとつ口に入れる。甘くて、温かい。完璧ではないけれど、自分で作ったものを会社に持ってきた、その事実がじんわりと嬉しい。

がんばるぞ、と思った朝の自分を、少しだけ褒めてあげたくなる。

火曜日のお弁当は、そういう小さな自己肯定感を、ひとつのお弁当箱に詰め込む行為なのかもしれない。華やかじゃなくていい。完璧じゃなくていい。ただ、自分のために作った、それだけで十分だ。
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