木曜日のおべんとう――もう一息の午後に、自分を甘やかす小さな習慣

Uncategorized

ALT

木曜日の朝というのは、不思議な空気をまとっている。月曜日の緊張も、水曜日の「折り返した」という安堵も、もうどこかへ消えていて、残るのはただ「もう一息」という、静かな疲れだけだ。会社に向かう電車のなかで、窓の外を流れる梅雨前の薄曇りを眺めながら、そんなことをぼんやり考えていた。

そういう日に限って、お昼ごはんを何にするか決めていない。コンビニでいいや、と思いながらも、なんとなく足が向かない。昔、母が「疲れた日ほど、ちゃんとしたものを食べなさい」とよく言っていた。小学生のころ、運動会の翌日に持たせてくれたおべんとうのことを、今でも時々思い出す。大きめの卵焼きと、甘辛く煮た鶏のそぼろ、それだけだったけれど、教室の窓から入る秋の光のなかで食べたあの味は、やけに鮮明に残っている。

だから最近、木曜日だけはおべんとうを持っていくことにした。会社の同僚には「えらいね」と言われるけれど、実はそんなに手をかけていない。むしろ、かけないことが続けるコツだと気づいた。

今週のおべんとうは「豚の梅しそ巻き」にした。材料は豚ロースの薄切り、大葉、梅干し、それだけ。豚肉を広げて、たたいた梅干しを薄く塗り、大葉を一枚のせてくるりと巻く。フライパンに少しの油を熱して、巻き終わりを下にして並べ、転がしながら3〜4分焼けば完成だ。味付けは梅の塩気だけで十分で、醤油をちょっと垂らしてもいい。仕上げに白ごまをひとふり。朝7時に台所に立って、10分もあればできてしまう。

副菜は、「ほうれん草のごまあえ」をレンジで。洗ったほうれん草をラップに包んで600Wで2分、水気を絞ってすりごまと醤油、少しの砂糖で和えるだけ。これが意外と、ごはんに合う。ごまの香りが鼻をくすぐる瞬間、ああ今日もちゃんとやっているな、という小さな充実感がある。

詰めるときのことを少し話すと、わたしはずっと「ハコモノ商店」というブランドの曲げわっぱを使っている。架空の名前みたいだけれど、本当にそういうお店がある、ということにしておこう。杉の木の淡い香りと、ふわっとした温かみのある色が好きで、毎朝これに詰めるだけで少し気分が上がる。白いごはんを敷いて、豚の梅しそ巻きを斜めに立てかけ、ほうれん草のごまあえを端に寄せる。隙間にプチトマトをふたつ。赤い点が入ると、ぐっと華やかに見えるから不思議だ。

今日、会社のデスクで蓋を開けたとき、隣の席の先輩がちらりとこちらを見て「いいにおいがする」と言った。梅とごまの香りが漂ったらしい。少し誇らしかった。……ただ正直に言うと、蓋を開けた瞬間、プチトマトが転がって床に落ちた。拾って、こっそりゴミ箱に捨てた。誰も見ていなかったと思う、たぶん。

木曜日のおべんとうは、自分へのご褒美だと思っている。月曜から積み上げてきた疲れを、もう一息だけ前に押し出すための、小さな燃料。会社の昼休み、窓から差し込む光のなかで、ゆっくり噛みしめる15分は、誰にも邪魔されない時間だ。

梅の酸味がじんわり広がるたびに、今日も夕方まで行けそうだ、と思う。木曜日は、そういう日であっていい。
#今日のお弁当
#お弁当記録
#毎日弁当
#お弁当作り楽しもう
#節約弁当
#ヘルシー弁当
#働く人のお弁当
#お弁当アイデア
#簡単弁当レシピ
#一週間お弁当メニュー
#日刊ブログメーカー

コメント

タイトルとURLをコピーしました