土曜日のおべんとう、友人と広げる野外の小さなごちそう

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土曜日の朝は、なんとなく空気が違う。平日の張り詰めた感じが抜けて、台所に立つ足取りまで軽くなる気がする。そんな朝に、友人と野外で過ごす約束があるとわかっていたら、前夜からそわそわしてしまうのは、きっと私だけじゃないはずだ。

今回は、友人と遊ぶ土曜日にぴったりの「野外おべんとう」を提案したい。

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待ち合わせは午前十時、駅前の小さな広場。友人のミサキさんはいつも五分前に来て、スマホを見ながらうっすら笑っている。その仕草が妙に好きで、私はいつも少しだけ早めに家を出る。持参するのは、前夜から仕込んでおいたおべんとう。ふたつ分。バッグの中でコトンと揺れるたびに、なんだか嬉しくなる。

目的地は、街はずれにある「ハルノ丘公園」。ベンチが少なくて、代わりに芝生が広い。十月の空気はもう秋の深みを帯びていて、日向に座るとじんわり温かく、日陰に入ると少しひんやりする。その境界線のあたりにシートを広げるのが、私たちの定番だ。

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さて、おべんとうの中身の話をしよう。

今回のメインは「鶏の甘辛照り焼き」。作り方はとても簡単で、鶏もも肉一枚をひと口大に切り、醤油・みりん・砂糖を各大さじ一で絡めてフライパンで焼くだけ。冷めても味がしっかりしているから、野外向きのおかずとして本当に頼りになる。

副菜には、ゆでブロッコリーのごま和えを添えた。ブロッコリーは最近どこのスーパーでも手に入りやすくなっていて、値段も安定している。ゆでてすりごまと醤油を少し和えるだけで、彩りも栄養もぐっと上がる。緑色がお弁当箱の中で映えるのも嬉しい。

そして、忘れてはならないのがごはん。梅干しをひとつ真ん中に置いた白いごはんは、子どもの頃から変わらない安心感がある。遠足の前夜、母が黙々とおにぎりを握っていた台所の記憶が、ふとよみがえる。あの頃は「なんで卵焼きじゃないの」なんて文句を言っていたけれど、今となっては梅おにぎりこそが最強だと思っている。

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デザートには、小さなタッパーに入れたさつまいもの甘煮を忍ばせた。バターをひとかけ加えるだけで、ほっくりとした甘さの中にコクが生まれる。これも前夜に電子レンジで十分ほどで作れる、手間いらずの一品だ。

おべんとうを広げると、秋の草の香りと混ざり合って、なんとも言えないいい匂いがする。遠くで子どもたちが笑い声をあげていて、風がときどきシートの端をめくっていく。ミサキさんがお茶のボトルを渡してくれる時の、その何気ない仕草がいつも温かくて、私はそれを受け取りながら「今日も来てよかった」と思う。

ちなみに、この日持参したお茶は「ソラノハーブティー」という架空のブランドではなく、近所の薬局で買った普通の麦茶だ。でも、青空の下で飲むとなぜかとびきり美味しく感じるのだから、場所の力というのはすごい。

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おべんとうをほぼ食べ終えた頃、ミサキさんが「あ」と小さく声を上げた。自分のシートの端に、さつまいもの甘煮がひとかけ転がっていたのだ。拾おうとして少し手が届かず、二度ほど空振りしていた。その姿があまりにもかわいくて、私は思わず笑ってしまった。彼女は「見てた?」と言いながら笑い返した。そういう小さなズレが、土曜日の野外をいっそう豊かにする。

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友人と遊ぶ土曜日の野外は、特別な場所へ行かなくてもいい。近くの公園でも、川沿いの土手でも、手作りのおべんとうがあるだけで、その場所はちゃんとごちそうになる。難しいことは何もいらない。前夜に少しだけ準備して、当日の朝に詰めるだけでいい。

大切なのは、一緒に食べる人がいること。それだけで、土曜日のおべんとうは完成する。
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