月曜日こそ気合いを入れておべんとうを。会社に持っていく、週はじめの小さな儀式

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目が覚めた瞬間、カーテンの隙間から差し込む光が、やけに白くて鋭かった。梅雨の晴れ間特有の、蒸し暑さを予感させる朝の光。時計を見ると6時17分。月曜日だった。

週のはじまりというのは、どうしてこんなにも重いのだろう。布団の中でそんなことをぼんやり考えながら、それでも体を起こしたのは、冷蔵庫の中に昨夜仕込んでおいた食材たちが待っていたからだ。会社に持っていくおべんとうを、今日は気合いを入れて作ろうと決めていた。

キッチンに立つと、まだ眠たい頭に、ごま油の香りがすうっと入ってきた。フライパンを温めながら、鶏もも肉に塩と黒こしょうを振る。皮がじゅわっと焼けていく音。その音だけが、しんとした朝の台所に響いていた。思えば子どもの頃、母が毎朝こんな音を立てていた。あの頃は「うるさいな」と思っていたのに、今となってはその音が妙に懐かしい。

**今日作ったのは、こんなおべんとう。**

鶏の照り焼きをメインに、ほうれん草のごまあえ、だし巻き卵、それと梅干しを一粒のせた白ごはん。シンプルだけれど、それがいい。月曜日の朝に凝りすぎると、続かなくなる。これはもう経験則だ。

**簡単な作り方のポイントをひとつだけ挙げるなら**、鶏の照り焼きは前日の夜に漬けておくこと。しょうゆ・みりん・酒を同量ずつ合わせたタレに、一晩漬けておくだけで、朝は焼くだけで完成する。だし巻き卵も、卵2個に対してだし大さじ2、塩少々。これだけで十分においしくなる。ほうれん草のごまあえは、ゆでて絞って、白すりごまとしょうゆで和えるだけ。5分もあればできてしまう。

おべんとう箱は、少し前に雑貨屋「ハコノワ」で買った、くすんだオリーブグリーンのアルミ製のもの。蓋を閉めるとき、かちりという小気味よい音がして、それだけで少し気分が上がる。

詰め終わったおべんとうをバッグに入れながら、ふと気づいた。今日の自分は、ちゃんと月曜日に備えていた。それだけで、なんとなく勝った気がした。

会社に着いて、昼休みにそのおべんとうを開けると、隣の席の同僚がちらりとこちらを見た。「いいにおいする」と一言。それだけで、朝の30分が報われた気がした。ちなみにその同僚は、コンビニのサラダチキンをフォークで刺しながら、微妙にうらやましそうな顔をしていた。気のせいかもしれないけれど、たぶん気のせいではない。

月曜日というのは、なにかと気持ちが沈みやすい。それは多くの人が感じていることで、特別なことでも、弱いことでもないと思う。だからこそ、気合いを入れておべんとうを作るという行為が、じんわりと効いてくる。「今日もちゃんとやっている」という感覚は、外から与えてもらうものじゃなくて、こういう小さな積み重ねの中にある。

おべんとうを作る、ということ。それは単に昼ごはんを用意するというだけじゃない。朝の静かな時間に、自分のために手を動かすということ。蒸気が立ち上るフライパンの前に立ち、焼ける音を聞き、香りを感じる。その一連の動作が、月曜日の重さを少しだけほぐしてくれる。

週に一度でいい。月曜日だけでいい。気合いを入れておべんとうを作って、会社へ持っていく。それだけで、一週間のはじまりがほんの少し、やわらかくなる気がする。あなたの月曜日にも、そんなおべんとうがあるといい。
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