土曜日の朝、友人と野外へ。持ち寄りたい「秋のおべんとう」と、その作り方

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目が覚めたとき、部屋の空気がいつもより澄んでいた。カーテンの隙間から差し込む光が、床の上でまるく白く広がっていて、ああ、今日は土曜日だと思った。特別な予感というより、静かな確信に近い感覚。

友人と野外に出かける約束をしていた。場所は「緑ヶ丘グリーンパーク」、市の外れにある少し地味だけれど、芝生が広くて空が大きく見える公園だ。紅葉がちょうど見頃を迎えていて、イチョウの葉が朝の風にひらひらと舞い落ちる季節。11月の声が聞こえてくる、10月末の土曜日の朝の話だ。

おべんとうを作ろうと決めたのは、前日の夜のことだった。台所に立って、冷蔵庫を開けながら何を入れようかと考えていたら、子どもの頃の記憶がふっと浮かんだ。遠足の前の晩、母が卵焼きのタレを小さなボウルで混ぜていた光景。あの甘い醤油の香りが、今でも「おべんとう」という言葉と一緒に頭の中にある。あのとき母は、卵焼きをうまく巻けなくて三回作り直していた。そういう、ちょっとした失敗ごと、全部ひっくるめて美味しかった。

今回作るのは、秋らしさを意識したシンプルなおべんとうだ。メインは鶏の照り焼き。鶏もも肉を一口大に切り、醤油・みりん・はちみつを1:1:0.5の割合で合わせたタレに10分ほど漬け込んでから、フライパンで皮目から焼く。蓋をして蒸らせば、中までしっかり火が通る。タレを絡めながら照りが出るまで仕上げれば完成。冷めても味が落ちないのが、野外向けのおべんとうには何より大事なポイントだ。

副菜には、ブロッコリーのごま和えを添える。ブロッコリーは小房に分けて塩茹でし、白ごま・醤油・砂糖少々を混ぜたタレで和えるだけ。シンプルだけれど、緑の色が弁当箱の中を明るくしてくれる。もう一品、さつまいもの甘煮も加えた。輪切りにしたさつまいもを砂糖と醤油で煮て、最後にバターをひとかけら落とす。これが野外で食べると、なぜかいつもより甘く感じる。

ごはんは塩むすびにした。具なし、ただ塩だけ。握るときに手のひらに感じる温かさと、ほんのり塩の粒が指に触れる感覚が好きで、これだけは毎回変えずにいる。

弁当箱は「ヴェルドゥーラ」というブランドのものを使っている。ナチュラルな木目調のフタがついた二段式で、見た目が落ち着いていて気に入っている。芝生の上に広げると、なんとなく絵になる。

公園に着いたのは昼少し前。友人と遊びながら、しばらくは落ち葉を踏む音を楽しんだ。乾いたイチョウの葉が、歩くたびにかさかさと鳴る。日差しは穏やかで、背中が少しだけ温かい。木陰に入ると空気がひんやりして、その温度差がちょうど気持ちよかった。

シートを広げて弁当箱を開けると、友人が「わあ」と小さく声を上げた。特別なことは何もしていないのに、野外で食べるとなぜか全部が美味しそうに見える。照り焼きを一口食べて、「これ、タレ何使ってるの」と聞かれた。はちみつ、と答えたら少し驚かれた。

食べながら、とりとめのない話をした。仕事のこと、最近読んだ本のこと、来年どこかに旅行したいねという話。友人がお茶のボトルを渡してくれるとき、ふと目が合って、なんでもない瞬間なのに少し笑えた。

土曜日の野外は、こういうものだと思う。特別な料理でなくていい。凝った演出も要らない。ただ、手をかけて作ったおべんとうと、気の置けない友人と、風の音と、それだけで十分に満たされる午後がある。来週もまた、土曜日が来る。
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