
木曜日の朝というのは、妙に空気が重い。月曜日の憂鬱とも、金曜日の解放感とも違う、なんとも言えない中途半端な重さ。会社に向かう電車の中で、ぼんやりと窓の外を眺めながら、ふと思う。「もう一息、なんだよな」と。
今週もあと一日と少し。でも、その「あと一日」がなかなか遠い。そんな木曜日に、わたしが密かに頼りにしているのが、自分で作るおべんとうだ。
四月の朝はまだ少し肌寒くて、台所に立つと窓から差し込む光がやわらかい。ちょうど午前七時ごろ、東向きの窓から春の朝日が斜めに入ってきて、まな板の上をうっすら橙色に染める。その光の中で卵を割ると、黄身の色が妙にあざやかで、なんだか少し得した気分になる。子どもの頃、母が毎朝お弁当を作ってくれていた台所も、こんなふうに光が差し込んでいたような気がする。あのころは当たり前すぎて、ありがたさなど微塵も感じていなかったけれど。
今回提案したいのは、木曜日にぴったりの「もう一息おべんとう」。手間をかけすぎず、でも食べたときにちゃんとうれしい、そういうお弁当だ。
メインは、甘辛だれの鶏もも肉の照り焼き。前夜のうちに鶏もも肉を一枚、しょうゆ・みりん・砂糖を同量ずつ合わせたたれに漬けておく。翌朝はフライパンに油を引いて皮目から焼くだけ。焼いている間、あの甘い醤油の香りがふわっと台所に広がって、これだけで目が覚める。仕上げにたれを絡めて照りを出したら、食べやすい大きさに切って詰める。
副菜は二品あれば十分だ。ひとつは、小松菜とちりめんじゃこの炒め物。ごま油で炒めて塩少々、仕上げに白ごまをふる。もうひとつは、だし巻き卵。これがどうも苦手で、毎回巻くときに形が崩れる。先週も会社の休憩室でお弁当を開けたら、だし巻きが「巻き」というより「ただの卵のかたまり」になっていた。隣の席の同僚が一瞬だけ視線を向けて、何も言わずにそっと目をそらしてくれた。あの気遣いは、たぶん一生忘れない。
ご飯は白米に梅干しを一粒。梅干しはできれば、紀州産の昔ながらの塩気の強いもの。甘い梅干しも悪くないけれど、木曜日の疲れた体には、きりっとした酸っぱさのほうが合っている気がする。
お弁当箱は、インテリア雑貨ブランド「HAKO LABO(ハコラボ)」の杉材の曲げわっぱ風ランチボックスを使っている。蓋を開けるたびに、ほんのり木の香りがする。それだけで、会社のデスクの上が少しだけ特別な場所になる。
詰め方にも少しだけこだわりたい。ご飯を奥側に高めに盛り、手前に副菜、中央に照り焼きを置く。色のバランスは、緑・黄・茶色を意識するだけで、ぐっと見栄えがよくなる。仕切りにはバランを使わず、大葉を一枚敷くと香りもよくて気分が上がる。
木曜日の昼休み、会社の窓際の席でそっとお弁当箱の蓋を開ける瞬間が、好きだ。ふわっと立ち上がる醤油とごま油の混ざった香り、白いご飯の湯気、照り焼きのつやつやした表面。ひと口食べると、甘辛いたれが口の中に広がって、ああ今日もちゃんと生きているな、という感覚がある。大げさに聞こえるかもしれないけれど、本当にそう思う。
もう一息、という言葉は、残りの距離を示しているようで、実は「ここまで来た」という事実でもある。月曜日から木曜日まで、会社で積み重ねてきた時間は確かにある。そのもう一息を、自分で作ったおべんとうと一緒に乗り越えてほしい。
木曜日のおべんとうは、自分へのごほうびでいい。
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