**土曜日の朝、友人と野外でひらく「しあわせおべんとう」のすすめ**

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目が覚めたとき、カーテンの隙間から差し込む光がいつもより白くて、少しだけ眩しかった。土曜日の朝というのは、どうしてこんなに空気が違うのだろう。平日の朝とまったく同じ時間のはずなのに、窓の外から聞こえてくる鳥の声も、なんだか余裕がある。そういう朝に、友人からメッセージが届いた。「今日、どこかで外ごはんしない?」

返信するより先に、冷蔵庫を開けていた。

友人と遊ぶ約束は、いつもこんなふうに突然やってくる。でも、それがいい。前もって計画を立てすぎると、なぜかうまくいかないことが多い気がする。子どもの頃、母親が「今日お弁当持って公園行こう」と言ってくれた日の、あの軽やかな感じ。そういう即興性みたいなものが、野外でのごはんをとびきり美味しくさせるのだと思っている。

今回つくったのは、夏野菜の彩り玄米おべんとうだ。作り方はとにかくシンプルで、玄米を炊いておにぎりにするだけ。具は梅と大葉、そして炒めたズッキーニとプチトマトのマリネ。フライパンにオリーブオイルを少し引いて、ズッキーニを輪切りにして焼き目がつくまで中火で炒める。塩とレモン汁を少々、最後にプチトマトを加えてさっと和えたら完成だ。時間にして15分もかからない。卵焼きを加えるなら、だし巻きを一本だけ焼いておくと、甘さが全体のアクセントになる。

詰めるときのコツは、色を意識すること。緑・赤・黄と並べると、それだけで見た目が華やかになる。保冷剤を忘れずに入れておくこと、これは夏の野外では必須だ。

待ち合わせは、駅から少し歩いた「青葉台公園」の大きな楠の木の下。友人が先に来ていて、レジャーシートをひろげながら手を振っていた。空はまだ午前中の柔らかさをのこしていて、日差しは強いけれど木陰はひんやりと涼しい。草の匂いと、どこかから漂ってくる日焼け止めの甘い香りが混ざり合っていた。

おべんとうを開けると、友人が「わあ」と小さく声を上げた。その反応が、正直いちばん嬉しかった。玄米おにぎりを手渡したとき、友人は受け取りながらすこし目を細めた。眩しいのか、嬉しいのか。たぶん両方だと思う。

ちなみにそのとき、私は保冷剤を入れ忘れていたことに気づいた。冷蔵庫の前でしっかり確認したはずなのに、バッグの中には見事に入っていなかった。心の中で「あ、やってしまった」と静かにツッコんだが、幸い当日は木陰が涼しく、おべんとうはちゃんと無事だった。あぶない、あぶない。

食べながら、とくに大した話をするわけでもなかった。最近どうとか、仕事がどうとか、そういう話が少し出て、あとは静かに風が通り過ぎていった。遠くで子どもたちが走り回っている声がして、芝生の上にトンボが一匹、ふらりと降りてきた。そういう時間が、いまいちばん贅沢なのかもしれないと思った。

2026年は「少人数で完結する楽しみ方、閉じた空間での安心感」がいろいろなジャンルに広がっている
という。それはきっと、こういうことだ。スマートフォンを鞄にしまって、友人と並んで草の上に座って、手でつくったおべんとうを広げる。それだけで、なんだか十分な気持ちになれる。

野外でのおべんとうは、特別な道具もいらない。ブランドものの弁当箱でなくていい。私がいつも使っているのは、雑貨屋「ハコノモリ」で買った木目調の二段ボックスで、蓋を開けるたびにほんのり木の香りがする。それが気に入っている。

土曜日の昼下がり、風が吹くたびに楠の葉がさわさわと揺れた。友人はおにぎりを食べながら、うとうとしかけていた。そういう午後だった。おべんとうを持って外に出ることは、どこか遠くへ旅をするより、ずっと近くにある豊かさに気づかせてくれる。来週の土曜日も、また誰かを誘いたいと思っている。
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