
金曜日の朝、冷蔵庫を開けて三秒で諦めた。
会社に持っていくお弁当を作ろうと思ったんだけど、野菜室にあるのはしなびた小松菜と、いつ買ったか記憶にないパプリカの残骸。冷凍庫を開けたら、去年の夏に作った謎の小分け容器が出てきて、ちょっと笑ってしまった。でもまあ、今日は金曜日だ。明日は休みなんだし、完璧を目指す必要なんてどこにもない。
私が金曜日のお弁当に求めるのは、とにかく「手間をかけないこと」と「それなりに見えること」の二点だけ。だから最近は「卵そぼろ丼弁当」に落ち着いている。作り方は本当に簡単で、卵を三個くらいボウルに割って、砂糖と醤油を適当に入れて混ぜる。フライパンに油をひいて、菜箸四本くらいでぐるぐるかき混ぜながら炒めるだけ。火加減は中火より少し弱いくらい。五分もあれば完成する。ご飯の上にどさっと乗せて、冷凍のブロッコリーを解凍して隅に詰めれば、それだけで立派な弁当に見える。彩りが欲しいときは、ミニトマトを二個くらい転がしておけばいい。洗い物も少ないし、朝の貴重な十分を奪われずに済む。
前の職場にいたときは、毎日手の込んだ弁当を作ってくる人がいて、ちょっとプレッシャーだった。彼女の弁当箱には、必ず三色以上の野菜と、きれいに並んだおかずが入っていて、蓋を開けるたびに周囲から「すごーい」って声が上がる。私のそぼろ丼なんて、隣で広げるのが申し訳なくなるレベル。でも今思えば、あれはあれで彼女なりの楽しみ方だったんだろうし、私は私のやり方でいいんだと思う。
金曜日の午後三時くらいになると、オフィス全体に独特の空気が流れる。キーボードを叩く音が少しゆるくなって、廊下を歩く人の足音も軽い。誰もが週末のことを考えている。そんな金曜日の朝に、一時間早起きして凝った弁当を作る意味って、正直あるんだろうか。
もうひとつ、私が金曜日によく作るのは「焼き鮭ほぐし弁当」。これは前の晩に鮭を焼いておけば、朝はほぐすだけで済む。塩鮭を一切れ、グリルで焼いて、冷ましたら骨を取りながら手でほぐす。それをご飯に混ぜ込んでもいいし、ご飯の上に乗せるだけでもいい。余裕があれば白ごまをぱらぱら振る。おかずは卵焼きを一本焼いて切るだけ。卵焼きも、だし巻きとか目指さなくていい。卵二個に塩をひとつまみ入れて焼けば、それで十分。フライパンを傾けながら端から巻いていくあの作業、朝からやるとなんだか職人になった気分になる。
そういえば、去年の夏に「ベントウキット」っていう弁当専用の調味料セットを買ったことがある。小さな瓶に入った、ふりかけとか、味付けのりとか、そういうのが五種類くらいセットになってるやつ。パッケージがおしゃれで、つい買ってしまったんだけど、結局二回くらい使って棚の奥に追いやられた。便利グッズって、買った瞬間がピークだったりする。
金曜日の弁当に必要なのは、効率と割り切りだと思う。月曜日から木曜日まで頑張ってきた自分に、これ以上負担をかける必要はない。だから私は、冷凍食品も堂々と使う。冷凍の唐揚げを三個くらいレンジで温めて、ご飯の隣に置く。それだけでボリュームが出るし、何より失敗がない。手作りにこだわって、朝からイライラするくらいなら、冷凍の力を借りた方がずっといい。
会社の給湯室で弁当を温めるとき、いつも思う。この小さな容器の中に、朝の自分の気分が詰まってるんだなって。丁寧に作った日もあれば、今日みたいに適当な日もある。でも、どっちの弁当も、ちゃんとお腹を満たしてくれる。それで十分じゃないかって。
明日は休みだ。今日を乗り切れば、ゆっくり寝られる朝が待っている。だから今日の弁当は、これでいい。卵そぼろと冷凍ブロッコリー。それだけ。
蓋を閉めて、バッグに詰め込む。時計を見たら、まだ七時半だった。十分間に合う。玄関を出るとき、少しだけ涼しい風が吹いていて、ああ、もう秋なんだなと思った。金曜日の朝は、いつもより少しだけ優しい気がする。
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