
土曜日の朝は、平日とは違う空気が流れている。目覚まし時計に追われることもなく、カーテンの隙間から差し込む光がいつもより優しく感じられる。そんな朝に友人から連絡があった。「今日、公園でピクニックしない?」というメッセージ。即座に返事をして、私はキッチンに立った。野外で食べるお弁当を作ろう、と決めたのだ。
お弁当作りといえば、子どもの頃、母が遠足前夜に台所で卵焼きを焼いていた記憶が蘇る。甘い出汁の香りと、フライパンが立てる小さな音。あの頃の私は、お弁当箱を開ける瞬間がたまらなく好きだった。その記憶を頼りに、私も卵焼きから始めることにした。卵を割り、砂糖と醤油を少し加えて混ぜる。フライパンを熱し、薄く油を引いて流し込む。ジュワッという音が心地よく、キッチンに甘い香りが広がっていく。
次に作ったのは、鶏の照り焼き。一口大に切った鶏もも肉を、醤油、みりん、砂糖を合わせたタレで焼くだけのシンプルなもの。焼き色がついてくると、タレが煮詰まって艶やかになる。その照りを見ているだけで、食欲がそそられる。野外で食べるなら、手でつまめるものがいい。串に刺してもいいかもしれない。
彩りを考えて、プチトマトとブロッコリーも茹でた。ブロッコリーは塩を入れた湯で軽く茹でるだけ。冷水にさらして色止めをすると、鮮やかな緑が際立つ。それから、おにぎりを三つ握った。梅干し、鮭、昆布。定番だけれど、外で食べるおにぎりは格別だ。海苔は別に包んで、食べる直前に巻くことにした。湿気たおにぎりほど残念なものはないから。
お弁当箱に詰めていく作業は、小さなパズルのようで楽しい。卵焼きを端に寄せて、照り焼きをその隣に並べる。隙間にブロッコリーとプチトマトを詰めて、彩りのバランスを整える。仕上げにゴマを振りかけると、なんだか急にプロっぽく見えた。気がする。
約束の時間に、近所の「ヴェルディ公園」で友人と待ち合わせた。彼女はいつものように、少し遅れてやってきた。「ごめん、ごめん!」と小走りで近づいてくる姿が、なんだか微笑ましい。手には大きなレジャーシートと、保冷バッグ。「私も作ってきたよ」と、嬉しそうに言う。
木陰を選んで、シートを広げた。風が心地よく吹き抜けて、木々の葉がさらさらと揺れている。遠くでは子どもたちが遊ぶ声が聞こえる。私たちはそれぞれのお弁当を取り出した。彼女が作ってきたのは、サンドイッチとフルーツの盛り合わせ。色とりどりで、見た目にも楽しい。
「これ、美味しそう」と、彼女が私の卵焼きをつまんだ。「甘くて懐かしい味がする」と言ってくれた。その言葉が嬉しくて、思わず笑顔になる。私も彼女のサンドイッチをひとつもらった。ハムとレタス、トマトがたっぷり挟まっていて、パンがふんわりしている。マスタードの風味が効いていて、爽やかだった。
おにぎりを頬張りながら、私たちは他愛のない話をした。最近観た映画のこと、仕事の愚痴、週末の予定。特別なことは何もない、でもそれがいい。風が吹くたびに、彼女の髪が少し乱れて、それを手で押さえる仕草が自然で美しかった。
そういえば、お弁当を詰めるときに卵焼きを一切れ、うっかり床に落としてしまったことを思い出した。慌てて拾って捨てたけれど、あの一切れがあれば、もう少し豪華に見えたかもしれない。まあ、それも愛嬌だろう。
野外で食べるお弁当には、特別な魔法がかかっている気がする。同じものを家で食べても、きっとこんなに美味しくは感じない。空の青さ、風の匂い、隣にいる人の笑顔。それら全部が、味わいの一部になっているのだ。
友人がコーヒーを淹れてくれた。水筒から注がれる温かいコーヒーの香りが、鼻をくすぐる。紙コップを両手で包むと、ほんのり温かさが伝わってくる。彼女は少しうとうとし始めていて、コップを持ったまま目を閉じかけていた。「寝ちゃダメだよ」と声をかけると、はっとして目を開けた。「ごめん、気持ちよくて」と照れ笑いする。
時間はゆっくりと流れていった。お弁当を食べ終えても、私たちはすぐには立ち上がらなかった。シートの上に寝転んで、空を見上げる。雲がゆっくりと形を変えながら流れていく。「あれ、犬に見えない?」「どこが? 私には鳥に見えるけど」そんな会話をしながら、午後の時間を過ごした。
土曜日の野外おべんとうは、手間をかけすぎなくていい。卵焼き、照り焼き、おにぎり。それだけで十分だ。大切なのは、誰かと一緒に食べること。そして、その時間を楽しむこと。次の土曜日も、また誰かを誘って、お弁当を持って出かけたいと思った。
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